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「っあーーーー!死ぬかと思ったあああっ!」
「死んでみろ」
「お前馬にも乗れねーのか。あほだな」
「あほゆーな!」
後から追いかけてきたヴィスウィル達が追いつき、なんとかロウを落ちつかせることができた。ロウが止まったときには麗はすでに疲れきっていた。
それからすこし進み、城下町の中程に来ていた。この前と同じように店が建ち並び、止めど無く賑わっている。見渡すところところが明るい。まるで暗いという言葉を知らないかのようだ。
だが必然的に、こういうところでは争い事も多くあるのだ。
「やめて下さい!!」
「!」
甲高い声に驚いて振り向くと、1人の20代くらいの女性が3人の男に絡まれていた。
「いいじゃねーかよ、ちょっと遊ぶくらい」
「ほら来いよ!」
「いった・・・・や、やめて!」
抵抗する女の手首を握り、無理矢理連れていこうとする。周りの人は気づいてはいるものの、とばっちりは受けたくないと無視して通りすぎたり、見ているだけだ。家の中に逃げ込む者もいる。
しばらくそれを見ていたヴィスウィルだが、不意にシヴィルが口を開く。
「・・・・おい。あれは王族として見逃しちゃまずいんじゃねーか?」
もちろん、ヴィスウィルに投げかけた言葉だ。
「・・・・・・めんどくさい」
「別に知ったこっちゃねーが、オヤジにあとからぐちぐち言われるのはてめーだろ」
「・・・・・・」
軽く舌打ちをし、しょうがないと動き出す。こんな状況を国の王子様がほおっておくとなったら大問題だ。だからこそこのヴィスウィルでも動く。
「ちょっとやめなさいよ!」
少ない野次馬の中を通り、女性を助けに行こうと野次馬の中心へ辿り着くと聞き覚えのある声が響く。
「嫌がってるじゃない!ナンパはもっと優しくしないと誰も女はよってこないわよ!」
「ああん?何だてめえ」
男達は女性の手首を握っている手を放し、麗に近づく。女性は野次馬の中に飛び込み、友達であろう女性に抱きついて泣いている。
「・・・あのバカ・・・・」
気づけばいないと思ったらまさか喧嘩を売りに行っているとは思わなかった。
「私が誰だっていいじゃない!女の子と遊びたいならもっとこう・・・なんていかな、女性の立場を尊重するっていうか・・・」
ポイントがずれてきた説教に周りの者ははあ?と首をかしげている。
「だから何言ってんだよてめぇ!」
「何だ、お前が俺達の相手してくれるのかよ?」
ニヤ、と笑って男は麗の腕を掴む。麗は抵抗もせず、男達をじっと睨んだ。3人とも図体がでかく、がっしりしている。一般の女性の力じゃびくともしないはずだ。
一般の女性では。
「こいつ、意外とかわいい顔してんじゃねーかよ!」
「おら、俺達と遊んでくれるんだろ?」
男が麗の腕を強く引っ張った。
だが、動かない。
「?」
あれ、と進行方向に向けていた顔を元に戻す。見ると、自分の掴んでいる腕に引っ張られている。それも、自分と同じ力で。
「・・・・まあ、それは喜ん――――――で!!!!!!!!!」
「!?」
次の瞬間、自分より強い力で引き寄せられ、鳩尾を食らわされ、あっという間に地面に倒れ伏せられていた。
「・・・っ!このアマ・・・・!」
「!!」
残った2人の男は2人がかりで麗に襲いかかる。麗も男を1人捕まえているので前と後ろからきてもらったら少々分が悪い。
やばい、と目をつぶる瞬間、急に男達の動きがとまった。
「・・・・?」
「「!!」」
見上げると、銀色の髪、白いシルエット、意外にも広い背中。
1人の男の目の前には剣の束が、もう1人の目の前には剣の切っ先がつきつけられている。
「これ以上面倒を増やすな」
透き通る声。
たとえそれがセオリーとかではなく、本当に面倒だから言った言葉でも。
「て、てめーは!」
「・・・・ヴィス・・・?」
「何やってんだよてめーは」
「何って・・・女の子が襲われていたから・・・」
「・・・・」
盛大にため息をつくと、剣をしまう。そして再び男達に言う。
「これ以上やるつもりならかまわず斬る。もしくは父母上の所に連行するが?」
そう言うと男達は3人とも一瞬にして顔を青ざめ、マッハで逃げていった。どうやらヴィスウィルが斬ると言ったことよりも、ヴィスウィルの父母上のところに連行、ということが効いたらしい。連行されたらどうなるのだろう?あのがたいのいい男達あれだけ恐れるのだから相当なことをされるのかもしれない。
「お前な・・・」
ヴィスウィルは麗を立たせながら口を開く。
「あんまあんなことすんな」
「何で?助けただけじゃない」
「俺の手間が増えるだろーが」
「手間?」
「・・・・もういい・・・・」
「?」
ヴィスウィルは彼に対する黄色い声が飛び交う中をかきわけ、ロリィやシヴィルのもとへ戻っていく。それを見て麗も慌ててついていった。
後書き
かなり短めです。
ここで切らないと次回がかなりかなり長いことになりますので・・・
ここで切っても次回はかなり長いんですが・・・
20080318
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